企画倒れの虚しい短編集
ヒロインの世代別の様々な恋愛模様を描いた短編集。私は女性の生理の蠕動が全編に渦巻く作者の作風が好きなのだが、本書は意外な程に創りがチープで拍子抜けした。
「微笑みがえし」、「捨てる女」、「合鍵」のヒロインは26?27才。内容は各々、"白馬の王子"の登場、"恋のキューピッド"の存在、"白馬の王子"の再発見を描いたもので、対象の女性(ヒロイン&読者)の知的レベルを相当低く見くびっている。恋愛小説と言うよりもユーモア小説の趣きが強く、意匠的に群ようこ氏「無印OL」との差異が見い出せない。「乾いた雨」、「乙女の祈り」のヒロインは29才。前者のヒロインは自分を大人と勘違いしている子供だし、後者はコントの台本を読んでいるよう。本当に"恋愛"を描こうとしているのか疑念が湧く。「水にゆらめく」のヒロインは30才。3人の登場人物の「常識度」コンテストをメインにした展開は頂けない。ヒロインの弟の幻影を持ち出すのは更に頂けない。「贅沢な部屋」のヒロインは32才。ヒロインの愛人の婚約者のような態度を取り得る女性が実在するだろうか。キレイ事に終始して、愛も怨念も感じられない。「仮睡」のヒロインは33才。愛人を55才に設定したせいで作品に落ち着きが出ている。愛人の「老い」がヒロイン自身の「老い」の鏡であることを強調し、寂寞と諦観の念と言う主題を明確にすれば更に良くなったと思う。「グレーの選択」のヒロインは34才。高校の同窓会で再会した初恋の相手が愛人役。その愛人と敢えて別れる決意をしたヒロインの手紙という形態で語られるが、誠実と偽善の区別が付かないヒロインの愚かさには驚いた。せめて、この手紙が自殺した愛人の脇に置いてあった、くらいの色は付けるべきであろう。
札幌を舞台にした連作集なのに、街の香りがしないのもお粗末。この短編集を「傑作選」と銘打たれては作者も不本意だろう。企画倒れの虚しい短編集。
読んだ後に・・・
恋愛ものの短編集なのだが、すべてを読み終えた後で、何か奥深いものを感じた、というか、ただの恋愛ものではないような、深刻さのある作品だと感じた。どの作品の主人公も、ただのハッピーエンドに終わるのではないところが、この作品の深いところだ。余談だが、著者の出身も札幌なだけあり、物語の舞台は札幌だ。それもまた、北国ならではの趣を醸し出している。
本当に「恋愛傑作選」!
女心をいろいろな角度から書かれた短編9つ。 結婚したい女、いつまでも昔の男を忘れられない女、まるで仕事と結婚してしまった女・・・。 いろいろな女達が繰り広げる恋愛物語。 恋をするって切ないなぁ・・・と今更ながら思い出させてくれる内容ばかり。 ここに出てくる女性みんなに、思わずエールを送りたくなった。
毎日が楽しくなった一冊!
これを本屋さんで見つけた日から、私の余った時間が待ちどうしくなり、楽しくなってきた。 ウキウキしながら読める、大人の恋が満載の、身近にありそうな、そんな楽しい恋愛小説集。 中には衝撃的な部分もあるが、こういうことも結構実はあるんじゃないか、と思ったりもした。これは読んだあと、友達と兄弟に薦めた。 だから、皆さんにも読んでもらいたい。 人生をちょっと楽しくするためのエッセンスとして、この本を読んでみてはいかがでしょうか?
角川書店
あの日、あなたは (文春文庫) めざめ (幻冬舎文庫) 心のこり (文春文庫) 熟れてゆく夏 (文春文庫) プライド (角川文庫)
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